CARDIOCHILINAE Ashmead, 1900
アシブトコマユバチ亜科
(= a tribe of Microgasterinae by some literatures)
[他の亜科との区別に用いる形態] (Non-Cyclostome)
小型から中型のコマユバチで、大抵中型。内向大腮。前翅翅脈Rsの末端区画は弱く節片化し、先端にかけて下方へカーブし、翅室1Rsは存在し、明瞭に長さ<幅。触角鞭節は16節以上。後体節第1背板の気門は側背板に存在する。後頭隆起線は欠く。Transscutal sutureは固定され、表面的で浅い。後脚付節はしばしは幅が広くなり、うちわ状になる。産卵管は少なくとも日本産種では多少とも短い。
上唇は凹まず、大抵彫刻され、時折大腮の下に隠れる。後翅翅脈m-cuは大抵基部方を欠く。後体節第2背板の気門はほぼ常に側背板に存在する。後体節は第2、3節の間で曲がらない。
[主な生態]
鱗翅目幼虫の内部寄生性飼い殺し型単寄生蜂。野外で見かけることは比較的少ないが、マレーゼトラップではしばしばまとまった数が得られる。
[同定の際の注意]
形態的にはサムライコマユバチ亜科と似ているが、触角鞭節の節数(サムライでは常に16節、二次的に分割され、32節に見えることがあるので注意)が多い点で容易に識別できる。
(上記解説中の翅に関する名称はSharkey, 1993に従っています)
旧北区、東洋区東部ならびに北部に産する属の検索表 ♀
[Dangerfield et al. (1999)を改変]
※は日本から記録が無い属
1.産卵管と産卵鞘は非常に短く、後脚脛節の0.2倍以下で、頑丈、鋭く下方へ曲がる。尾節版(亜生殖板)は裁断状の為、後方へ突出せず、後体節後方へ超えて確認できない。
・・・2へ
―.産卵管と産卵鞘はより長く、上記が該当する属ほど頑丈ではない、緩やかに下方へ曲がるか、直線状。尾節版(亜生殖板)は後方へ突出するか、末端で裁断状、後者の場合は後体節後方へ超えて確認できる。
・・・5へ
2.付節爪は単純。中舌は先端が丸い。中胸背縦斜溝(Notauli)はなめらか。後脚脛節先端には脛節棘とは別にカップ状の突起を持つ~突出する。
・・・Pseudcardiochilus※
―.付節爪は櫛歯状。中舌は先端で弱く二又。中胸背縦斜溝(Notauli)は様々。後脚脛節先端は決してカップ状の突起を持たない。
・・・3へ
3.後体節第1背板は頑丈で、長さは先端幅の2倍以下。前翅翅脈2-1Aは存在し、翅の縁に向かい伸びる。頭盾は幅広く、幅は長さの2.5倍以上。
・・・Retusigaster※
―.後体節第1背板はスレンダーで、長さは先端幅の3倍か、それ以上長い。前翅翅脈2-1Aは欠くか、付け根を除いてほぼ欠く。頭盾はより狭く、幅は長さの2.5倍以下。
・・・4へ
4.前伸腹節の小室は前方で減少する。後脚第1付節(の断面)は板状。
・・・Hartemita
―.前伸腹節の小室は完全。後脚第1付節(の断面)は丸いか長楕円形。
・・・Bohayella※
5.後体節第1節は背板と側背板が明瞭な縫合線で完全に区分される。[後体節第1背板の長さは先端幅の3.6倍以下。後体節は側方から強く圧されない。]
・・・Austerocardiochiles
―.後体節第1節は背板と側背板が不明瞭か部分的な縫合線で一部が区分される程度。
・・・6へ
6.前翅翅脈3rは常に光の反射で認識できるか、できない場合は口器が伸長する。中舌は大抵適度に伸長し、先端が深く二又。小腮外葉は殆どの場合長く、狭く、刀状。
・・・Schoelandella※
―.前翅翅脈3rは欠く。中舌は様々な形態。小腮外葉は決して刀状にならず、もし適度に長い場合は幅が広くなる。
・・・7へ
7.尾節版(亜生殖板)は中央に膜質部を持つ。小腮外葉は長く、幅広く、大腮後方にはっきりと確認できる。
・・・Cardiochiles※
―.尾節版(亜生殖板)は一様に節片化する。小腮外葉は短く、幅広いか、狭い。[複眼は顕著な微毛に覆われる。触角は24~29節からなる。頭盾前縁は中央に2つの突起を持つ。]
・・・Asiacardiochiles※
日本産既知種のリスト(2021年版)
Austerocardiochiles Dangerfield, Austin & Whitfield, 1999
japonicus (Watanabe, 1937) (Cardiochiles) オオアシブトコマユバチ
Hartemita Cameron, 1910
Laminitarsus Fullaway, 1919
muirii (Fullaway, 1919) (Laminitarsus) ウチハコマユバチ
nigrotestacea Belokobylskij & Ku, 2000 キョクトウウチハコマユバチ