略字辞典
ここでは、昆虫学において良く用いられる略字について説明します。説明の多くは石原(1963)に基づいています。
参考文献
石原保(1963)系統農業昆虫学.480 pp. 養賢堂,東京.
alt. (altitude) 標高、海抜。
auct. (aucter, 複:auctores) 著者。
例:Pimpla pluto Auct. は著者の言うPimpla plutoという意味(なので、Auct...という命名者ではない)。
ca. (circa) 約、およそ、だいたい。
cf. (confer) 参照。
comb. nov. (combination nova) あるタクソンが現在の所属から別の所属に新しく移されたことを示す。
例:Triclistus rubellus → Colpotrochia rubella (comb. nov.)
del. (delinearit) 描く。
det. (determinated (by)) ・・・同定。
do. (ditto) 同上。
e.g. 例えば。
em. (emerged (from)) ・・・より(羽化)脱出。
例: em. from pupa of Pieris rapae. → モンシロチョウのさなぎより脱出。
emend. (emendatus) 誤写や誤植の名の訂正されたことを示し、改訂された後に付記する。
et al. (et alibi) ~ら、等、そのほか。例:Watanabe et al. → 渡辺ら。
etc. (et cetera) そのほか、等。
ex ・・・から(from)。
ex. (複:exs.) (example) 標本、実例。例:3 exs. → 3頭の標本。
f. (form, forma) 型。
f. aest. (forma aestivalis) 夏型。
f. autum. (forma autumnalis) 秋型。
f. hiem. (forma hiemalis) 冬型。
f. vern. (forma vernalis) 春型。
fam. (family) 科。
fig. (figure) 図。複数の場合はfigs.を用いる。
gen. (genus) 属。
gen. nov. (genus novum) 新属。
hab. (habitat) 産地、棲息地。
hom. (homonym) ホモニム、異物同名。異なるタクソンに同じ名称を用いること。
ib., ibid. (ibidem) 同じ場所に。
id. (idem) 同上。
i.e. (id est) すなわち。
in litteris 印刷中(in press)。
l. c., loc. cit. (loco citato) 既出。
leg. (legit) 採集、採集した。
misdet. 誤同定。
ms., Ms., MS. (manuscript) 原稿。Ms. nameはmanuscript name(未発表の名称)。
nec. ・・・ではなく。
例:Glypta cymolomiae Watanabe (nec. Uchida) → 正しいG. cymolomiae Uchidaではなく、Watanabeの同定したG. cymolomiaeの意味。
nom. lit. (nomen in litteris) 印刷中(未発表)の名称。
nom. nov. (nomen novum) 新称。
nom. praeocc. (nomen praeoccupatum) 先取されていて無効の名称。
p. (page) 単一のページ。
partim (in part) ・・・の一部。
pp. (pages) 複数のページ。pp. 14-22は14ページから22ページを指す。522 pp. はその書籍や論文が522ページであることを意味する。ただし、図版(プレート)などを別に表記する場合(例: 100 pp. + 12 pls.)があるので注意。
p. s. (post script) 後記、付記(postscript)。
pers. comm. (personal communication) 私的なコメント、個人的なやりとりに基づく情報、私信。
q. v. (quod vide) 見よ!
s. lat., s. l. (sensu lato) 広義の。
s. str. (sensu stricto) 狭義の。
sic, sic! 原文のまま。スペルの間違いをそのまま引用した場合などに用いる。
例:Pimppa 〔sic!〕 pluto(正しい綴りはPimpla plutoだが、必要性から元の綴りを用いた場合に、このように用いる)。
sp. (species) 種。
sp. nov., sp. n. (species nova) 新種。
spp. 複数種。
例:Cryptinae spp. → トガリヒメバチ亜科の複数種。
ssp. 亜種。
stat. rev. (status revivisco) あるタクソンの分類学的位置が修正されたこと。シノニムで無効名となっているタクソンが有効名に戻る場合などに用いる。
ssp. nov., subsp. nov. (subspecies nova) 新亜種。
syn. (synonymum) シノニム、同物異名。同じタクソンに対し異なる名称を用いること。新しくシノニムとして名称が破棄される場合はsyn. nov. (synonymum nova)を用いる。
例:Teleutaea longiterebra Kuslitzky, 1973 [= T. nigricoxalis (Uchida, 1928), syn. nov.]
var. (varietas) 変種。
vid., vide 見よ!
viz. (videlicit) すなわち。