和文文献参考リスト(分類群別)

ここでは、日本語の文献を紹介してゆきます。寄生蜂の和文の記事は驚くほど少ないですが、言い換えれば、記録が少ない今のうちに整理しておけば今後の研究で調べる必要が生じた際に調べることが楽になると言えます。

 

現在、文献の山より寄生蜂の記録を含む記事を拾い上げています。当面の間、月刊誌や地方同好会誌などの報文で気づいたものを順次加えてゆきますが、非掲載の報文をご存じでしたらご教示いただけますと大変ありがたいです。

 

このページは分類群ごとにリスト化しています。地域ファウナに関する資料は地域別のリストを参照してください。

上科もしくは科までの検索表が載っている文献

ハチを調べる際、先ずはそのハチがどの科に所属するかを調べる必要があります。なれてくれば、一見して属や種まで落とせますが、現状では、初めてハチを調べる際は、検索表を使って調べる必要があります。そこで、これらを調べる際に役に立つ資料を紹介します。

 

「(新訂)昆虫の検索」素木得一 著 373pp.(ハチはp108-136) 北隆館 1964年

「昆虫分類学」平嶋義宏・森本桂・多田内修 著 599pp.(ハチはp455-497)年 川島書店 1989年

 

上記二冊は何れも昆虫全般を扱っています。前者は少々古いのが難点。やはりお勧めは後者で、教科書として、ハチ以外の部分も読むことをぜひお勧めします(名著であると私は思います)。

 

「あっ!ハチがいる!」 千葉県立中央博物館 監修 144pp.  晶文社 2004年

 

ハチの面白さがこれでもかと書いてあり、これからハチをやろうとする人はぜひ見て欲しい一冊です。巻末には上科への絵解き検索もついており、現状のおよその種数がわかる科名一覧も便利です。値段が安く、財布に優しい価値ある一冊です。

 

「ハチ目昆虫の検索と解説」 松本吏樹郎 著 環境アセスメント動物調査手法11(日本環境動物昆虫学会講演会テキスト p. 31-75)

 

日本から記録があるハチの殆どを科まで同定できる絵解き検索表で、一般の方にとっての利用価値はすこぶる高いです。「Hymenoptera of the World」の日本語版に相当し、ハチを調べてみたいけど資料が・・・とか日本語じゃないと気がのらない・・・という方にはお勧めの文献です。

各分類群ごとの和文文献

ヒメバチ科ミズバチ亜科

青柳正人, 1999. 水生寄生バチ, ミズバチの生活. 昆虫と自然, 34(14): 11-14.

岩田久二雄, 1952. 水蜂について. 新昆虫, 5(7): 4-6.

太田成和, 1917. 本邦産水蜂に就て. 動物学雑誌, 29: 281-285.

太田成和, 1917. 水蜂Agriotypus一種を箱根芦ノ湖に観察す. 昆虫世界, 21: 487-494.

菊池昶史, 1955. 北海道でミズバチを採集. 新昆虫, 8(5): 55.

小西和彦, 2005. 膜翅目(ハチ目) Hymenoptera. 川合禎次・谷田一三編, 日本産水生昆虫, pp. 573–578, 東海大学出版会.[日本産既知種の検索表]

中村慎吾, 1985. 帝釈峡昆虫記(四), ニンギョウトビケラとミズバチ. 帝釈文化, 15: 1-10.

津田松苗, 1942. 水蜂の寄生せるフタスヂキソトビケラ. 植物及び動物, 10: 69.

津田松苗, 1956. ミズバチとフタスヂキソトビケラ. 新昆虫, 9(6): 43-44.

山田晴昭, 1980. 水中に棲む蜂-ミズバチ-. 昆虫と自然, 15(8): 14-16.

 

ヒメバチ科ニジヒメバチ亜科
渡辺恭平, 2011. 日本産ニジヒメバチ亜科(和名新称)Brachycyrtinaeについて(ヒメバチ科). 神奈川虫報, (173): 21–24.[日本産既知種の検索表]

 

ヒメバチ科チビアメバチ亜科
渡辺恭平,2015.マイマイガの天敵寄生蜂,マイマイガチビアメバチ(新称)Phobocampe lymantriae Gupta, 1983とベレックチビアメバチ(新称)Hyposoter vierecki Townes, Momoi & Townes, 1965(ヒメバチ科:チビアメバチ亜科)の本州からの新記録.神奈川県立博物館研究報告(自然科学)(44): 79-86.

 

ヒメバチ科メンガタヒメバチ亜科

渡辺恭平,2013.日本産メンガタヒメバチ亜科(ヒメバチ科)に関する覚書Ⅰ:日本産の属への検索表とAcerataspis, Drepanoctonus, Metopius, Periope, Pseudometopiusの各属,和名の見直し.神奈川虫報 (181): 15-31.[日本産既知種の検索表]

渡辺恭平,2014.日本産メンガタヒメバチ亜科(ヒメバチ科)に関する覚書Ⅱ(Colpotrochia属).神奈川虫報 (183): 59-66.[日本産既知種の検索表]

 

ヒメバチ科タマバチヤドリヒメバチ亜科
渡辺恭平, 2010. 東京都産のヒメバチ数種について. 神奈川虫報, (169): 1–8.[日本産既知種の検索表]

 

ヒメバチ科チビマルヒメバチ亜科
渡辺恭平,2012.日本産チビマルヒメバチ亜科について(膜翅目,ヒメバチ科).神奈川虫報(178): 31-42.[日本産既知種の検索表]

 

ヒメバチ科ヒラタヒメバチ亜科

渡辺恭平, 2010. 日本産キスジハチヤドリヒメバチ族Perithoiniについて(ヒメバチ科: ヒラタヒメバチ亜科). 神奈川虫報, (172): 21–26.[日本産既知種の検索表]

渡辺恭平, 2011. 日本産ヒラタヒメバチ族Pimpliniについて. 神奈川虫報, (174): 1–19.[日本産既知種の検索表]

渡辺恭平,2012.ヒメバチ科寄生蜂に関する報告の追記・訂正(その1).神奈川虫報(178): 70-71.

渡辺恭平,2013.関東地方と三宅島から見つかったオナガヒラタヒメバチItoplectis cristatae Iwata, 1961(膜翅目,ヒメバチ科).神奈川虫報 (179): 5-8.[日本産既知種の検索表:補足]

渡辺恭平・伊藤誠人,2015.ウスタビガ(チョウ目,ヤママユガ科)の寄生蜂,ウスタビガフシヒメバチ(新称)Gregopimpla ussuriensis Kasparyan & Khalaim, 2007(ハチ目,ヒメバチ科,ヒラタヒメバチ亜科)の日本からの発見.神奈川県立博物館研究報告(自然科学)(44): 87-93.[ウスタビガに寄生する種の検索表]

 

ヒメバチ科クチキヒメバチ亜科

渡辺恭平, 2011. 日本産クチキヒメバチ亜科(ヒメバチ科)についての覚書. 神奈川虫報, (175): 1–18.[日本産既知種の検索表]

渡辺恭平,2012.ヒメバチ科寄生蜂に関する報告の追記・訂正(その1).神奈川虫報(178): 70-71.

 

ヒメバチ科オナガバチ亜科

井口宗平, 1911. 昆蟲雑記(二). モンキヲナガバチ (Thalessa praecellens Tosq.)の産卵. 昆蟲世界, 15 (168): 329.

石井悌, 1930. モンヲナガバチの交尾. Lansania, Tokyo, 2(16): 89.

鳥羽源蔵, 1903. 昆蟲雑信(其一). オホヲナガバチの産卵の方法. 昆蟲世界, 7(76): 516-517.

安松京三, 1937. エゾヲナガバチ及びモンヲナガバチの觀察(英彦山昆蟲雑記-XIV). あきつ, 1(2): 33-42 + 2 pls.
安松京三, 1938. ヲナガバチ類の習性に関する再考察(英彦山昆蟲雑記-XXIX). あきつ, 1(3): 71-76.

渡辺恭平,2012.神奈川県およびその周辺地域で見られるオナガバチの検索資料(膜翅目,ヒメバチ科,オナガバチ亜科).神奈川虫報(177): 1-10.[日本本土部産既知種の検索表]

渡辺恭平,2012.ヒメバチ科寄生蜂に関する報告の追記・訂正(その1).神奈川虫報(178): 70-71.

 

ヒメバチ科ハバチヤドリヒメバチ亜科

渡辺恭平, 2010. ハバチヤドリヒメバチ亜科の数属について(Acrotomus, Cteniscus, Kerrichia, Dyspetes, Cladeutesの各属). 神奈川虫報, (172): 1–10.[日本産既知種の検索表]

渡辺恭平,2016.日本産Sphinctini族およびOedemopsini族のヒメバチについて(ヒメバチ科ハバチヤドリヒメバチ亜科).神奈川虫報 (189): 63-74.[日本産既知種の検索表]

 

コマユバチ科
大場英毅・渡辺恭平, 2011. シブオナガコマユバチの学名およびBrulleini族に関する若干のメモ(コマユバチ科, フチガシラコマユバチ亜科). 神奈川虫報, (173): 25–27.[日本産既知種の検索表]

渡辺恭平,2013.日本産オオアメイロコンボウコマユバチ亜科Xiphozellinaeについて.神奈川虫報 (180): 7-10.[日本産既知種の検索表]

 

セダカヤセバチ科
清水壮・渡辺恭平,2015.新潟県・山形県のヤセバチ上科目録.越佐昆虫同好会報 (113): 25-30.[日本本土部産既知種の検索表]

その他、一般

奥俊夫, 2003. 私がお目に掛かった昆虫学者I. 岩手蟲乃會會報, 30: 19–22. (松村松年博士と内田登一博士、桑山覚博士、河野広道博士についての記述あり)櫛下町鉦敏, 1998. 日本産チョウ類に寄生するヒメバチ. Satsuma, 37(100): 149–160.

小西和彦, 2005. 膜翅目(ハチ目) Hymenoptera. 川合禎次・谷田一三編, 日本産水生昆虫, pp. 573–578, 東海大学出版会. (ヒメバチ科ミズバチ亜科を中心に水生生活をするもの)

小西和彦, 2015 .黄色水盤(イエローパン)トラップ.昆虫と自然, 50(1): 8-11.   
小西和彦, 2015 .チョウに寄生するヒメバチ.やどりが, (243): 2-8.
田端雅進・前藤薫・渡辺恭平・梶村恒・小坂肇・神崎菜摘,2015.日本へのノクチリオキバチに対する潜在生物的抵抗要因としての針葉樹キバチ類の寄生蜂相.森林防疫 Forest Pests, 64(6): 13-16.

桃井節也, 2003. あるナチュラリストの覚書. 文芸社, 東京. 187pp.

渡辺恭平,2012.American Entomological Instituteに収蔵されている寄生蜂について-ヒメバチ科数亜科のリストならびに日本産寄生蜂の収蔵状況についてのメモ-.神奈川虫報(176): 15-27.